ヤサコにとってデンスケとの出会いは、メガじいに電脳メガネをプレゼントされた事から始まり、あっちの世界との関わりもデンスケと出会った事から始まった。
そして、最後に崩壊しかけたあっちの世界からヤサコを救い出したのもデンスケであった。
デンスケはメガじいの言いつけである「ヤサコのボディーガード」である事を最後まで忠実に守ったのだ。
デンスケの最後の仕事
電脳ペットとしてのデンスケは、大黒市史跡博物館でヌルからヤサコを守るためにヌルと対決し、空間ごとサッチー2.0にフォーマットされてしまった時がヤサコとの最後の別れであった。
通常の電脳空間では電脳ペットとしてのデンスケはこの時点で消去され、メモリアルが持ち主に届けられてペットとしての存在は完全に終了してしまう。
しかし、ヤサコにとってデンスケとの別れはあまりにも突然であった。デンスケに対する強い思いが残ったままのヤサコは、母に電脳メガネを通してみる幻より手に触れられるものこそ本物であると諭されるが、ヤサコの心の痛みと悲しみは消えずに残ったままとなってしまった。
その後、ヤサコは金沢に残された通路からあっちの世界に入り、ミチコさんが誕生した本当の理由をイサコに知らせ、さらに兄信彦との本当の記憶を思い出したイサコにより、あっちの世界は急速に存在意義を失い、世界は崩壊し始めた。
だが、イサコの心があっちの世界を必要としなくなり、すでに通路をサッチー2.0にフォーマットされ、元の世界に戻る手段を失った二人の意識は、あっちの世界と共に消えてしまう危険があった。
そこに現れたのがイリーガルになってしまったデンスケであった。
デンスケはメガじいと一緒に現れた過去の記憶という形を取り、あっちの世界から元の世界の金沢に戻る手引きをしたのだ。
イリーガルになっていたデンスケであったが、ヤサコから声をかけられると初めてのヤサコとの出会いと同じように、戸惑いながらもヤサコの手を舐めた。
ヤサコもデンスケを抱きしめ、それまで感じる事が出来なかったデンスケの暖かさ、ふかふかの毛並みを感じ、ようやく心から最後の別れを告げる事が出来たのだ。
ヤサコの心の整理が着いたところで、イリーガルとして存在していたデンスケの電脳体もその存在意義を無くし、通路とともに消え去った。
イリーガルとは、人の心に残っていた様々な感情がヌルにより汲み取られ、あっちの世界で彷徨っていた存在であったのだ。







