天沢信彦の肉体と電脳体に起きたことは、叔父とイサコの話をまとめるとおおむね次のようである。
5年前、二人は交通事故に遭い意識不明となり、メガじいの電脳医療を受けることになった。しかし、イサコは信彦と二人だけで永遠に暮らしたかったため、ミチコさんに信彦をそのまま電脳空間にとどめるよう願った。このため治療が終わっても信彦の電脳体は肉体に戻らず、イサコだけ意識を取り戻した。その後、信彦のは死亡した。
信彦の電脳体はどうなったか
肉体と電脳体が分かれてしまい、戻るべき肉体が事故などで失われた例は葦原かんながある。
葦原かんなの電脳体はあっちの世界で生存(存在)していたが、その外見はかなり崩れており、ヌルに近い状態であった。肉体とのリンクが切れてしまい、電脳体のままとなってしまうとどうやら劣化が起きるようである。
葦原かんなの場合は交通事故にあってから1年ほど経過してからハラケンとヤサコが目撃しているが、信彦の場合は肉体が死んでからそれ以上経っている。電脳体の劣化はどの程度進んでいるのであろうか?
現在イサコの電脳体はあっちの世界に入ったままとなっているが、通路を開く手段がなくなってしまったのであっちの世界がどのようになっているのかまったくわからない。
電脳体の劣化の程度がその肉体とのリンクが切れてからの時間に比例すると、その外見はヌルと区別がつかなくなっている可能性がある。イサコは信彦を見つけることが出来るのであろうか?
この電脳体の時間経過による劣化も電脳空間の危険な側面と思われる。