電脳メガネは装着者から見た電脳空間に様々な電脳物質を表示するが、装着者の動作と表示を同期させるためには脳とのインターフェースが必須の機能となる。(例えば電脳ペットを抱きかかえる場合など)
電脳メガネのイマーゴ機能はこれをさらに進歩させたもので、思考を電脳空間に反映させる事ができる機能である。
どちらも脳とインターフェースをとる事に変わりがないため、イマーゴ機能を実現するための基本インターフェースはどの電脳メガネにも備わっている。
思考を反映させる事の危険性
イマーゴ機能(装着者の思考した事を電脳空間に反映する機能)の問題点は、装着者の感情がそのまま具現化される事にあり、電脳空間が歯止めの利かない感情のはけ口と化す危険性がある。
人は誰しもその心の奥底に、本人さえも認めたくない非道徳的、攻撃的、非論理的感情を秘めているものである。それを我々は躾や教育、道徳、規則、一般常識などで押さえ込んでいるにすぎない。
コイルス社は、電脳メガネの開発段階において、この人間が本質的に持っている凶暴な側面をどのように押さえ込むか相当に苦心した事と想像できる。
これに対する対策として、電脳メガネの脳とのインターフェースにフィルターをかける事と、電脳物質の登録制を取り入れたと思われる。さらに未登録の電脳物質の駆除用として、サッチーを開発したのである。
しかし、これらの対策は電脳メガネの技術がメガマス社に移ってから実施されたものであり、コイルス社時代の電脳空間Cドメインには人の感情が生み出した電脳体がまだ存在していると考えられる。