大黒市になぜこれほど古い空間が存在し続けるのであろうか?
サッチーがフォーマットしても、次から次とまるで再生成されるように一向に減らない。
空間管理室の原川玉子は、その原因が4年前の事件が原因と何らかの関係があると漠然としてではあるが気がついているのかもしれない。
一つの仮説として、4年前の事件がイリーガルやミチコさんなどの様々な都市伝説が広まった原因と考えられるからだ。
メガマス社にとって消し去る事ができない古い空間
イリーガルなどの発生元と考えられているバージョン5.2より古い空間は、4年前の事故当時は最新のバージョンであったと考えられる。
推測であるが、未だに詳細が公表されていないその事故とは、電脳メガネと電脳空間が絡んだもので、生身の肉体から電脳の体と精神が分離してしまい、電脳空間に取り残されてしまったのではないだろうか?
メガマス社はこのような事故を二度と起こさないために、緊急の電脳空間のバージョンアップを行ったが、問題の5.2よりバージョンの古い空間は、肉体から離れた精神を空間ごと保存しておくためにそのまま残した可能性がある。
メガマス病院の4号棟はおそらくイサコの兄のように、精神が電脳空間に取り残され、肉体のみとなった事故の犠牲者が収容されていると思われる。
古い空間が未だになくならない理由は、事故から4年が経っているのにも関わらず、メガマス社でも未だに事件の原因究明ができていない事を示している。
万一、強制的にその空間をフォーマットしてしまえば、空間に取り残された精神そのものが失われてしまうからだ。原因究明についてはメガマス社では手詰まり状態であるのかもしれない。
イサコと連絡を取っている人物はその事を知っている電脳メガネの開発者ではないだろうか?(メガじいの可能性も否定できない)メガマス社の猫目宗助であった事が判明したが、猫目は最初の電脳メガネのモニターでもあったので、原川玉子同様この4年前に起きた事故については一般に知られている事以上の隠された事実を知っている可能性があると思われる。